2017.4.9 14:59 [Sun]
売られた喧嘩は買いますが
「アナタは自覚ないと思いますけど、アナタが思っている以上にオレはアナタが好きなんですよ」
思いの届かぬ腹立たしさに痺れをきらせ、どうにでもなれと思いながら言葉を発した。
「う、うん」
「何が、うんなんですか。馬鹿なんですか」
これは、女なりに戸惑っているのかと思えばだらしない顔で女は笑う。
「いや、知ってるよ」
「ハァ?」
「シオンくんが、少なからず私を好きなのは知ってるよ」
気づいていたのか、シオンの気持ちに。ゴクリと息を飲む。
「だって、嫌いな人と一緒にはいないでしょ」
違う、と叫びたくなった。
そう云うことじゃない。
もっと、深くて複雑なんだと言ってやりたい。
ぐつぐつぐつ。
腸が煮えくりかえる。
「私も好きだよ。私は嫌いな人と一緒にいるほど、優しくはないから」
ああ、もう。
クソくらえ!!