会いたい彼女に会えないことも
想ってない男から会いたいと言われることにも
疲れてしまった
雨
最後に彼女と会った日も
こんな風に冷たい雨の日 冬、だった
柔らかな声
子供みたいに笑う顔
綺麗な手
ぜんぶ
喧嘩したことも何度かあったけど、15年の間で数えるほどだった。
友人関係が長かったから、その間にかなり深い付き合いになっていた
そのおかげもあったのだろう。
わたしは彼女のすべてを肯定していた
幼稚な考え方も、心配ばかりかけるところも。
わたしは彼女がいたから頑張れた
そのパワーは計り知れない。
わたしには忘れられない人が何人かいる
思い出す度に、もう一人でいいやと投げやりになる。
過去の誰かと、今の人を比べることはもうしなくなった。
ただ満たされないだけだ。
ふとした時に
こんな酷い想いを抱えたままこの先も生きていかなきゃならないのかと
途方にくれる
わたしが貴女を愛した痛み。
紅く染まっていく
この右手には何の価値があったろう
愛する人を守れもせずに
あなたを忘れたことはなかったよ
出逢った日のことは今もはっきりと思い出せる
交わした言葉も
口づけも
繋いだ手も
あなたの笑顔も
電話越しの可愛い声も
忘れられないひと、いる?
また再会できる可能性はある?
「世間は意外と狭いもんよ
きっとまた会える」
愛した女性の話ができるのは
同じように忘れられない男性がいると教えてくれたゲイの知人
マイノリティでいることは罪なのか
感覚のちがう人と話をしているときはたまに息がつまるよ
そうかと思えば、似たようなマイノリティと呼ばれる人たちと話をしていても
大概、遊び程度にしか考えていない
所詮笑い話にされてしまう
違和感しか残らない
黙る
繰り返す
話したくない
傷つけるなら触れないでくれと心底思う
馬鹿が嫌いなだけ