貴方、本当に従順ね。
肩に落ちたそれは桜の枝。
無残にも手折られた木には目を遣る事なく、私はただ主の瞳を覗き込んだ。
可愛い、長谷部。
つ、と花が頬をなぞり、叩く。
痛みなどあるはずもなく、寧ろあるのは不埒な高揚感である。
いっそ浅ましいそれを彼女はとうに気付いているからこそ、こうして私一人を庭へと誘うのだ。

岩融。人の身体はどう?いけそう?
そんな質問をされたので、視線を落としてみれば実に柔らかそうな胸の肉が互いに押し付け合い生まれた、この世の欲を詰め込んだ深い谷間が見え、ふむ、悪くない。いきり立つぞ。と答えればやっぱり慣れると便利だよね、その調子で出陣してね!などと見当違いな答えをされたので今夜当たり夜這うことにした。

彼等の、刀の産声について。
ねぇ主、俺なんて言ったの?
さぁ覚えてないや。
教えるべきではない、というか。
沖田君。
だなんて、正直すっごく、今だって思い出したらまだまだ悔しいから絶対教えてやらないよ。

二本の腕に十本の指を手に入れて何が出来るのだろう。
とりあえずお姉さんの手を握りたいと思う辺り、僕はまだまだ弱いのだろう。

人間の生は桜の様でしょう。
彼女が随分と皮肉に言うので、なぁにまた巡り回って咲くのを気長に待つさ、と笑って答えたら泣かせてしまった。