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タイトルなし









3歳の頃のほんのワンシーンな記憶がいくつか頭の中に閉まってある
おじいちゃんおばあちゃんおじちゃんおばちゃんおとうさんおかあさんいとこみんなで海にいる
みんなで日光にいる
みんなで富士山にいる
それだけはずっと覚えてた






今日おばあちゃんに会いに行った
きっともうすぐいなくなっちゃう
そんな気がした
おばあちゃんとずいぶんと長い時間話した
やっぱりお父さんの浮気を怒っていた
直人がぐれなくてほんとによかったとすごく嬉しそうに話してくれた
少しうるうるしてしまった
おばあちゃんはもう一年くらい寝たきりなんだけど、
一年も寝たきりだと昔の記憶と未来の想像ばかり考えてるんだって
直人の結婚式を必ず見てから死ぬんだって三回も言ってたおばあちゃんありがとう
そのあと少し昔話をした。毎年みんなで海に行った話、花見をした話、猿を見に行った話、富士山に登った話、富士急で遊んだ話
どれもこれも
僕の頭ん中のほんの少しの記憶のやつだった
それをおばあちゃんは嬉しそうに詳しく話してくれた
すごく嬉しそうに
涙が溢れそうだった
少しだけ僕の記憶もよみがえった気がしたなんとなくだけど
あの頃のおばあちゃんはすごく元気だった


そのあと入れ歯をはずして歯が一本以外全部なくなった話をしてくれた
入れ歯だと味が少しわからなくなるって言ってたかわいかった


そして最後にいい話をしてくれた

ご飯の話

きっとあたりまえなんだけどすごく大事なこと

直人、
ご飯はお腹が空いてないと美味しくないよ
病気の身体だと美味しくないよ
ひとりだと美味しくないよ

おばあちゃんはね昔、旅行先で食べた美味しかったご飯を急に食べたくなってお願いして買ってきてもらったんだけど
全然美味しくないんだ
ベッドの上だからかね
ご飯はね
みんなで食べるからおいしいんだよ
元気な身体で太陽の下で食べるともっとおいしいんだよ
おばあちゃんが今まで食べてきたご飯で一番おいしかったのは
直人がまだ3歳くらいだったかな
みんなででかけるときにたくさんおにぎりをこしらえてあんまり美味しくなさそうなオカズをこしらえてじいちゃんがつけた漬物も一緒に持ってな、でかけさきでシート広げて食べたあのおにぎりがいちばんおいしかったんだよ
少し焦げちゃった卵焼きもすごくおいしかった
やっぱりご飯は
みんなで食べなくちゃダメなんだよ
だから直人も早く結婚して子供作って美味しいご飯たべるんだよって

すごくいい話だった
必死に泣きそうになるのをこらえた
実は僕もその記憶はうっすら残っていたから余計に泣きそうになった

今年はお餅も食べれなかったし桜も見れなかったし紅葉も見れなかった
来年は見たいな
早く元気になってたくさん歩かなきゃなって
おばあちゃんは強く自分にいい聞かせるように僕に話した。

僕は言った


必ず連れてくから
早く元気になってよ


おばあちゃんは
嬉しそうに
少し涙を堪えるように







笑ってくれた
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